『人工楽園』ボードレール

青山の日月堂にて購入、800円也。

日本語副題に「ボードレールの麻薬哲学」

1977年、松井好夫訳、煥呼堂

口絵に初版-1860年パリ-の写真があり

原題は『人工の楽園-阿片とハシシ-』と読めそう

あたま30項ほどに「個性倍化手段たる酒とアシューシェの比較」なる一章がある

しかし、そのおまけが面白い

面白すぎる

曰く、飲酒行為で一番うれしいのは酒を飲む人で、2番目に嬉しいのは飲まれる酒である。

曰く、こいつは変質者に違い無いと睨んだ画家は、家政婦を破滅させ、しかも牛乳ばかり飲んでいる輩だった。

30項にあふれる一方的な真理の数々。

自分と自分の同類にたいする余りに寛容な態度

そのうえ

「私は(酒の)恩恵の前には、被害の数を計算する勇気がなくなることを、ここに告白する」

告白するな!

せんせい度量がデカ過ぎますよ

お酒と飲酒が好きな方以外には、全く与太にしか思えない本書を生真面目に訳出した方は、精神医学の博士。

職業的鍛練のたまものか