番号で ー コンドルのブルーズ

 

昨日は外洋クルーズ半ばで骨折して送還されてきたお妻の継母の父君と一緒にかえってきた母君を迎えに空港へ行って、これって専用の救急車両をつかったプロの仕事だろと思えるな難事をのりこえてセダン車に急患クラス1名を含む大人4人、スーツケースふたつ、歩行器一台を詰め込んで、義継祖父を彼らの家のベッドまで送り届けて疲れ果て、家にかえって料理する気力もなく、近所のショッピングセンターの外縁にあるけ一度だけ行ったことのあるアジア料理全般なんでも来いという軽食屋にいった。このショッピングセンターにクルドケバブ屋と合わせて2件しかない個人経営の店で応援したい気持ちもあった。

最近は客の姿を見たことがなく出前ウーバーがたまに出たり入ったりするのを見る程度。予想は悪い意味で的中。不味い。美味しくないのではなく不味い。

本土からの蔵出し直輸入ではない、おそらく福建系の夫婦と近所のティーンエイジャーの赤毛の女の子の3人体制だけど、まるっきり不慣れな彼女を店頭にほったらかして夫婦は店の奥。奥さんの方は過不足なく英語がしゃべれる。

ポーク入り野菜炒めは甘いマレー醤油ドボドボ。トム・カーのスープは明らかに、トム・ヤムを再編集してそれっぽくして見ました。どうです?ってな調子。焼うどんは語る言葉を持ち合わせません。一点、うどんはメニューには米粉の麺とあるが小麦粉だ。料理ドタバタ三国物語ー全滅。どうやら伝達不十分だったらしいラーメンをキャンセルして帰るところに出前ウーバー系のバイクが到着。シークとかあっちの武闘派な面構えの若者。例のカクカクした聞き取りずらいしゃべり方でウーバ側と店側との定型の確認事項復唱。

店の外に出るとまだ販売店のシールも目に鮮やかなピッカピカの新車のロイヤル・エンフィールド。まだインドかどっかで作ってるとは聞いていたが本当にピカピカなのを見ると何か意識が遠のいていくような感慨がひたりひたりとしみてきた。

閉じかけのドアからさっきの女の子のが電話で持ち帰りの注文を受ける声が聞こえる。「番号でお願いします」

少女よ自分の地元で自分の言葉で番号でお願いするってどんな気持ち?教えてくれなくていいよ。
帰り際のBGMは尺八でかなでる「コンドルは飛んでいく」なんかこのために1日がデザインされていたようなブルース感が通り過ぎていった

 

ーーーーー番号でお願いしまーすって何時の何処からだろ?バブル末期というかイトマン倒産とかもう崩壊が始まってたのになんか当時の僕みたいに若いのが平気で深夜にプチ散財してたころに飲み食い小腹どっちでも便利にいける台湾小皿料理ってのが流行ってたけど、記憶ではファミレスより台湾が早かったような。軽く発酵しかけの醤油シジミと安い紹興酒に追憶。

ーーーーーーーあの頃、青いラベルの花彫紹興酒なんて飲むのは日本だけ。料理酒だよってバカにされた。確かにここらでは同じに見えるラベルのものが料理酒として売っている。税制の都合か飲用には適さないように塩が入ってんだよ。まあ日本にも「あの人は飲み物なくなったら味醂でも飲んじゃうんだよ」なんて言い草をお妻に教え込んだご婦人がいたから昔はアルコール飛ばさずに売ってたのかも知れないね

ーーーーーーーーーーー搾菜を料理せずにそのまま食べるのも日本独特の習慣ってのは嘘だと思う。あと、中国人ってどこの町か知らないけど、地元は焼き餃子が名物って話を聞いたこともある