ミスターテスター健在

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確かに水平対向エンジンは一見して燃焼室やピストンが低い位置にあるように見える.しかし回転する中心軸のクランクシャフトは,比較的高いところにある.塊として見た静的な重心そのものの位置は低いかもしれないが,動的な状況における“高さ”に着目すると,高回転領域ではジャイロトルクは軽視できない.この回転軸はスロットル・オン/オフ時に姿勢変化に影響するものであり,実際に体感できる重心高は,期待ほど低いものになりはしない.この点は,より大きな水平対向12気筒エンジンを搭載した(そして消滅してしまった),かつての「フェラーリテスタロッサ」とて同じである.

さらにギアボックスはこのクランクシャフトと同軸にあり,後方の低い位置にあるデフとつながるために,後ろに向かって大きく傾斜する.

せっかく新設計するのであれば,ギアボックスにも新しいアイデアを投入,アウトプットの軸を一段低くするなどして水平にマウントするなどの工夫が見たかった.ちなみに往年の「トヨタ・パブリカ」(水平対向2気筒のFR車)や「トヨタ・スポーツ800」はそうなっていた.

ギアボックスが斜めになれば,潤滑オイルには角度をもって満たされることになる.もちろんそれなりの対策は講じられているだろうが,オイル量の増加などでフリクションは多くなる傾向にある.