佐貫亦夫『発想の航空史』

佐貫亦夫『発想の航空史』

先生、ライト兄弟は自転車の運転に慣れている者が補助輪つき自転車を運転する時のなんとも不気味なこわさから主翼ねじりを思いついたのじゃあないかしら。

表紙もちぎれてなくなった文庫本もiPadを横に持ってればフルカラーで愉しめる。内容は『航空機のスタイリング』その他と重複するけど頭からとおして読むと航空というか飛行機械の黎明期にだいぶ項をさいていると気がついた。曰くライト兄弟だけが最初から空を飛ぶだけじゃなく「飛び回る」つもりでやっていて、舵(垂直尾翼)だけでなく当時は誰もやっていなかった主翼ねじり(フラップ)と併せて左右旋回を実現した。トンビの飛ぶ様子から発想のを得たとの後々の、そして当時の記述が多いがそれは当人が否定というか、軽くいなしていたそうな。

当時の自転車はハイカラな乗り物だから、兄弟の自転車屋は、アストンの旧社名みたいにライト自転車製造販売及び整備だったはずで、小学生のころ読んだ伝記にはどちらかひとりは宣伝のために自転車レースに出て成績もよかったとか。販売促進で自転車教室もやってたはずで、初心者むけに補助輪やついでに軽貨物の三輪車も作ったことがあったと考えてもふしぜんではない。よね。

四半世紀前の高校の昼休みに拾ってきた自転車になんとか補助輪をつけて、数人で八の字のタイムトライアルをしたのを思い出す。内倒しない自転車を舵だけでまげるなんとも不快な、まさに理に反する運転感覚もよみがえってきた。これだよ。これですよ。まちがいない。飛行機を運転したことないけど。あの感覚と、横滑りに怯えながら固定主翼の飛行機の舵を恐る恐るきる感覚は類似した理に反する感じがする違いない。

さっそく佐貫氏にメールをと思ったところ、すでに他界されました。氏の話のはしばしから察するに、母方の祖父と同年代.....。南無

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