ロットネスト島の十字
ざっと四角く切り出した
あるいは
石くれの正面だけを平らにならした
石灰岩に彫り込んだ十字
一直線に細いノミの幅で彫り
直行する同様の直線と2本で十字になる
それは
虫に刺されたときにx親指の爪を押し付けて作る
バッテンじるし
これは私たちの営みです。偶然ではありません
島の船着場の広場から左右の海岸沿いの道をとらず
まっすぐに島の中心部へむかう道をとり
バス停をすぎ
右手にロットネストロッジをみて
さらにまっすぐ
左手に注意して歩けば
木陰の濃い
門柱だけで
開け放ちの墓苑がある
20にみたない石がぽつぽつとならぶ
通りにちかい半数ほどは
四隅のこれも石灰岩の仕切りのポイントが
ひとつひとつのお墓を
畳の一枚ほどの大きさに区切っている
没1889 享年10と1/2週間
私たちはあなたを忘れない
バッテン印
没年18XX 26日間を生きた
安らかに眠れ
バッテン印
目の粗い石灰岩の表面ははげしく風化していて
後年に作ったプレートを添えてない墓石が
いつの誰のものかはわからない
筋彫りのバッテン印いがいにもいろいろに
赤十字のそれのような真四角い十字を彫りこんだもの
それを浮き彫りにしたもの
よく見かけるような縦長でやや末広がりの十字を彫った大きめの石は、どうしても立てておくことができなかったようで座りのよい横向きで年を重ねた仰臥十字
筋彫りで見開いた本を彫ったものは背の厚みを省略してるから
まるでペラのリーフレットのように見える
超訳まとめ聖書
家を切り妻の方から書いたものは
誰かのコンクリートでの全面的な補修が
当初の意匠を伝え
ギリシャ式の神殿のようにも見える
大きなラッパ水仙の浮き彫り
本土の湿地では今が咲きごろ
刑務所
開拓地
少年更生院
見張り台
インド洋を睨む砲台
スワン川の河口から20か30キロの沖にある、今は楽園のような島